昔出会った症例です。
犬種はコーギーです。
2~3日前から食欲があまり無く、時々口が開いたままということで来院。
痛み止めでもあまり効果が無く、喉元に少し排膿を認めたためレントゲンを撮ることに。
そのレントゲン写真がこちら。
見辛い写真で申し訳ないですが、ノドの近くの赤矢印を見てください。
白い細い物が刺さっているのが見えます。
これは縫い物用の針でした。
どういう経緯で入り込んだかは謎ですが、舌を貫通していた為、喉から少し排膿していたのです。
口の中はそのままではじっくり見せてくれないので、麻酔をかけて口の中を確認しました。
すると、かなり奥のほうに針先が確認できたのです。
針先は全部が隠れていたわけではないので、口を閉じると軟口蓋(口の中の上の柔らかい所)に針先が刺さり口が閉じられないという状況でした。
針を抜いて縫合して処置は終わりなのですが、抜いた針の針穴にはしっかり糸が付いていたのです。
しかし喉元からは糸は見えませんでした。
謎です。
レントゲン写真的には後ろに向かって刺さっているので、てっきり喉の方から刺さって舌を貫通したものだと思ったのですが、そうであれば糸は外に出ているはず・・・。
となると、舌側から斜めに入り込んだとしか考えられません。
不思議なものです・・・。
ちなみに、飼い主さんは針がなくなったことと、一緒に付いてきた糸の色に覚えがあるそうで、反省の意味を含め針をお持ち帰りになりました。
子供の頃、母に「針が折れて、血管に入ったら、心臓に刺さって死ぬ!」と言われたなぁと思いながら治療しました。
このケースは針でしたが、刺さる以外にも異物の危険は潜んでいます。
皆様も注意してくださいね。