ネタがないので過去のフードの話を再コピー

ネタがないので過去にも書いたフードの話を再コピー(再々コピーかもしれません)に加筆修正。

 

診察の際、よく受ける質問の中に「フードは何を選んだらいいですか?」というのがあります。

これって結構難しい質問なんです。

ということで、今回はフードについて考えてみます。

考え方は千差万別なので、個人的な一意見として読んでください。

 

まずは種類ですが、ペットフードには、ドライ、ソフトドライ、セミモイスト、ウエットがあります。

一般的に良く食べられている通称カリカリことドライ。

ふわふわした発泡感のある水分量が多いソフトドライ。

ふわふわしていないけれど水分量が多いセミモイスト。

いわゆる缶詰のウエット。

それぞれのメリット・デメリットは以下の通り。

 

ドライ・・・安い 種類が多い 噛み砕くとき少し歯垢を落とす ある程度保存がきく一方、悪くなった場合に気付きにくい

 

ソフトドライ・・・嗜好性がいい 水分量が多い 歯垢は付きやすい 腐りやすい

 

セミモイスト・・・ソフトドライと同様

 

ウエット・・・高い 種類が多め 嗜好性がかなり高い 水分量がとても多い 歯垢はかなり付きやすい 一番腐りやすい

 

こんな感じでしょうか。

コスト的には製品にもよりますが、ウエット>セミモイスト>ソフトドライ>ドライです。

嗜好性に関してもウエット>セミモイスト>ソフトドライ>ドライでしょう。

じゃあ、金額面を考慮しないならウエットが一番なのか?という話になりますが、歯石はウエットが一番つきます。

ドライを丸飲みする子もいますが、基本的には噛み砕くので、その時に歯とフードが擦れて少し歯垢を落としてくれます。

保存性であれば、ドライ>>ソフトドライ=セミモイスト>ウエットです。

 

さて、種類の説明はこの辺までとして、何を食べさせたらいいか考えてみましょう。

個人的にはドライフードがいいと思います。

何故かというと、コスト面が一番安いことや他のフードに比べ味が落ちるので、体調が悪くなり食欲が落ちた時、他の美味しいご飯で食欲を出すことが出来る可能性があるからです。

では、ドライフードでもいろいろ種類がありますが何を一番重要視すべきでしょうか?

普通のペットフードから原材料がいい物を使っているプレミアムフードさらにその上のスーパープレミアムフードなどなど様々な物が販売されています。

ここで考えなければいけないのが、高いものをあげていれば果たしてそれがいいことなのか?ということです。

どんなに高級なもので保存料や合成着色料などが入っていないものを選んでも、吐く事が多かったり便の臭いが悪かったり軟らかいのでは意味がありません。

なぜならそのフードは体にあってないからです。

人も下痢をした場合や消化不良のときは便が異常に臭います。

それと同じです。

ペットは自分でご飯が用意できませんから、食べて胃がもたれる物を与えられるのはある意味虐待といってもいいかもしれません。

では、どんな状況ならいいのか?ですが、これは、そのフードをあげてみて、吐かない、下痢をしない、軟便にもならないが基本になります。

便の状態ですが、排泄後、便を取ったとき地面に便が付着せず、程良い水分量(耳たぶより硬いくらい)で、便の臭いがあまりしないものがいい状態だと言えるでしょう。

便の量は食べている繊維分の量によって変わりますし、色に関しては食べている物によって変化するので参考にはなりません。

なので、異常な臭いがしない、持って地面にくっつかない、程よく硬いが基本です。

そのようないい便をするフードのうち、フードの食い付き方が良く、自分で納得のいく物(例えばオーガニックであるとか値段が安いとか保存料を使っていないかなどなど)を選べばいいと思います。

個々で消化の兼ね合いも違いますし、好き嫌いもあります。

なので、病気の場合であればおススメするフードはありますが、一般食ではおススメするフードはありません。

よく食べ、便が臭わない、持って地面にくっつかない、程よく硬いを基本に自由に選んでもらうのがいいと思います。

 

ただ、猫に関しては可溶性繊維分が多いフードを選んだほうがいいと思います。

猫は元々砂漠の方の生き物なので水分量はあまり必要としませんが、少ない水分量だと便が硬くなり、それが便秘や嘔吐の原因になります。

可溶性繊維分により、グルーミングで舐め取った胃腸内の毛も便に混ぜて出してくれますし、便の水分量が増え便秘がちの猫の排便を楽にしてくれます。

では、ドライフードを食べない場合はどうすればいいのでしょうか?

これが相当難しい・・・・・・。

猫の場合、かなりの美食なので開けたてじゃないと食べないとか食べるメーカーが決まっているとか様々です。

ドライフードをメインにする場合、鰹節や煮干などが好きな子であればそれをティーバッグに入れ、ドライフードと一緒にお皿に入れてラップをしてしばらく放置。

その後、香りが移った頃にティーバッグを取り出してドライフードをあげてみてください。

それで少しずつ慣らしていくのがいいと思います。

犬の場合、生後1年近くで健康であれば犬と飼主の戦いです。

ご飯食べない→食べないと美味しいものが出てくる→それを食べる→次も美味しいものが出てくるまで食べない の連鎖になっているのでそれを断ち切らないと無理です。

健康な子であれば、1日2日食べなければ確実にお腹が空くので出してあるものを食べざるを得ません。

時々、相当根性がある子がいてガリガリになるケースもありますが・・・。

1歳近くでなければいけない理由は、若いうちだと低血糖になって亡くなってしまうケースがあるからです。

なので1歳くらいが目安になります。

また、あげる時間も定めてもらい10分で食べ始めなければ引き上げてしまうようにしましょう。

そうすると、食べなきゃご飯がなくなるから食べなきゃという風になります。

 

ドライフードは1種類だけをあげたほうがいいのでしょうか?

これも、個々により変わると思います。

お腹が丈夫な子でどんなフードも食べる子であれば、時々ドライフードではないものや他のドライフードを適当にあげるのもありだと思います。

理想としては1種類をずっと続けると、食欲がいつから少なくなったかなど体調の変化がわかります。

一方で、同じものしか食べていないと腸内細菌がそれを分解するためのものに特化してしまうため、急にフードを変えると腸内細菌がフードを異物として認識してしまい下痢になる事があります。

なので、時々違うものを与えて腸内細菌の強化を図るのがいいと思います。

食べムラのある子は美味しい物をあげるとまたドライフードを食べなくなる可能性があるので、いつも食べているドライフードに他のドライフードをほんの少し加えるのがいいかもしれません。

ベースのフードは決めて、それを基にちょっとアレンジをするのがいいでしょう。

さて、セミモイストなどにはメリットは無いのでしょうか?

ソフトドライ、セミモイスト、ウエットのメリットは水分量の多さと嗜好性の高さです。

水分量ってそんなに大切なのか?と思うかもしれませんが、特に猫で重要です。

先ほど述べたように猫はあまり水分を取ってくれないのですが、その分便が硬くなったり尿石症の原因になります。

その場合、硬い便を排泄するためによりいっそうの力が必要であったり、尿が出なくなって緊急的な処置をしなければならない事があります。

ウエットフードであればドライフードを食べているときよりも多くの水分量が取れるので、便が出やすくなったり、結石が出来にくくなる可能性があります。

ドライフードの水分量は10%程、ソフトドライやセミモイストは30%前後、ウエットフードは75%程度です。

犬猫の1日にとって欲しい水分量は大まかに計算すると体重×50mlなので、4kgの猫であれば200ml必要です。

100gのウエットフードであれば75ml取れますので、ドライフードより水分量が断然違います。

水分量が増えれば排尿量が増えるので、膀胱結石や膀胱炎などの予防へと繋がっていきます。

嗜好性が高いこれら3種類のフードたちはドライフードを食べてくれない子の最終手段になるでしょう。

ドライフードにトッピングしてみたり、おやつ代わりにあげてみたりいろいろなことが出来ます。

一方で、歯石は付きやすくなるのと軟らかいため顎が弱くなるといったデメリットもあります。

顎の力はガムなどで対応するとして(物によっては歯が割れる事があるので注意が必要です)、最低限、歯磨きをしてあげないとビックリするくらいのスピードで歯石が付きます。

 

年をとったらフードの種類は変えた方がいいのでしょうか?

これも悩みどころです。

個人的には同じフードを食べて、その体型が維持できていて、便の状態がよければ変える必要はないと思います。

食べているフードが合わなくなってきたら、食欲の低下や軟便になるなどの何かしらの症状が出てきます。

例えば、シニア期になると歯が痛くなってドライフードを食べにくくなったり、消化が弱くなってしまうことがあります。

そのときに初めてフードの変更を考えるのでいいのではないでしょうか。

テレビで見る元気なご老人は、朝から肉食べてたりたくさん食べたりしています。

逆に入院して数日食べられない場合は一瞬で体力がなくなります。

なので、消化が十分に耐えられるのであれば特にフードの変更は必要ないと思います。

意外と体重のトラブルがあるのが、フードをアダルトからシニアに切り替えた時です。

カロリー量が少なくて劇的に痩せているケースがあります。

 

 

食事量についても相談を受けます。

食事量はその子の消化率、運動性など様々な要因があるので、パッケージの表記を参考に与えてくださいとお伝えしています。

過去にあったお話です。

中型犬と小型犬を一緒に飼っている方がいました。

その小型犬は表示通りの食事を与えられていましたが、中型犬と一緒に散歩に行っていたので消費カロリーが増えてしまい、ガリガリになっていました。

小型犬が中型犬の運動をしていたのに、カロリーが低かったため瘦せてしまったケースです。

痩せているかの判断は、軽く指に力を入れて肋骨が触れるるか触れないかで判断します。

その触ってる感覚でフードの量を調整します。

なので、食事量を聞かれた場合は適当(適量)ですとお答えしています。

適当といわれると難しいと思いますが、こればっかりは慣れてもらうしかありません。

まずは表記通りの量をあげて、瘦せるか増えるか維持できるかを1~2週間みて判断してみてください。

瘦せたかどうかの判断が難しい場合は、病院に相談しに来てください。

 

いろいろ書いてきましたが、結局のところ個人的には、便が臭わない、持って地面にくっつかない、程よく硬いを基本に自由に選んでもらうのがいいと思います。

各々で消化能力も違いますし、嗜好性、顎の力、歯の状態これらは千差万別です。

他人の子はAという製品があっていても、自分の子がAという製品が合うとは限りません。

なので、いろいろ試してみて、自分が納得できるものを選ぶのが一番じゃないでしょうか。